知覚とバイアス
認知バイアスについて、人の脳の働きの流れに即してまとめてみました。
ウイキペディアの「認知バイアス」のところに掲載されている、「認知バイアスコーデックス」という図を私なりに解釈したものです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9
その元になったバイアスについてのBuster Bensonさんによるまとめ方が大変よかったのだと思います。それをJohn Manoogian IIIさんが図(チャート)化したときに、円形にまとめられたのがヒントになりました。
Bensonさんは175種類の認知バイアスを4つに分類しました。彼の理解では、バイアスは大量の情報を効率よく脳が処理するための仕組みです。その処理の前提として4つの課題があり、課題別にバイアスをまとめています。【1】Too much information.【2】Not enough meaning.【3】Need to act fast.【4】What should we remember?となっています。
私はその内容からこれらを【1】選択【2】解釈【3】判断【4】記憶としてみました。すると、身体の感覚器官から受信した情報を脳がどのように処理するのか、4つの分類がその情報処理の流れになっていると理解しました。この各段階で、脳が情報処理する際にバイアスが作動します。
下図は以前神田房枝『知覚力を磨く』2020、ボー・ロット『脳は「ものの見方」で進化する』2017を読んで、知覚の仕組みついてまとめた図です。
これを元に、最初の図を作っています。
もっとも重要な点は、記憶が次の知覚(情報の選択)に大きな影響を及ぼすということです。ボー・ロットはその割合を90%と述べています。つまり、私たちが何かを認識するときの情報源の9割が脳が過去記憶から創り出した情報で、1割が感覚器官からの情報だということです。9:1の割合については根拠となるバックグランド・データが不明ですが、バイアスの性質を考えると過去記憶が情報の判断基準として重要なのだと思います。
そもそも脳がどれくらいの情報圧縮をしているかについは、ブリタニカ百科事典のWEBサイトに参考情報があります。それによると、脳は毎秒1120万ビットの信号を身体の感覚器官から受信するのですが、人の意識が対応できる情報量はその25万分の1、50ビットだとしています。
https://www.britannica.com/science/information-theory/Physiology
ですから、バイアスの影響は「9:1」どころではないのかもしれません。
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